暗記を過信しないこと
1964年の東海道新幹線の開業から60年以上だが
これまで事業者側に責任のある乗客の死亡事故はない。
しかし開業から数年は、あわやの事態の連続だったそうだ。
1967年、運転車両部長の齋藤雅男氏は
ある駅を視察し
助役2人と面会した。
1人に非常時の対応を問うと
20以上もの項目を全てそらんじた。
もう1人も伝令方法について
暗記内容をすらすら答えた。
だが齋藤氏は
暗記の努力を褒めるどころか
チェックリストを指し、強く言った。
「これに従ってやればミスはない。
憶えることは絶対に禁止する」
非常事態は突然起こる。
人間の心も非常の状態になる。
マニュアルを記憶していても
正しく判断できるものではない。
氏は、慢心に陥りがちな人間の性質を指摘したのだ。
受験勉強も同じだ。
テキストを暗記するほど覚えても
根本の考えかたを理解していなければいけないのだ。
なぜなのか、どうしてなのか
常に疑問を持ちながら本質を追求する学びを重ねていきたい。

