座右の文章題
座右の書という言葉がある。
自分にとって参考になったり励みとなったりする本で
常に自分の手元に置いておき
その内容をいつでも引くことができるようにしてある本のことだ。
私の座右の書は
いくつか挙げたいのだが
ひとつだけならば
パウロ・コェーリョ著「アルケミスト」だ。
読んだことがない人は
ご一読お勧めしたい。
さて、塾の仕事をしていると
一年間で
相当の「文章問題」を読むことになる。
物語文や説明文、古文や英語などなど様々だ。
多くの問題に触れていると
ふと
座右の問題といえるような
繰り返して読んでみたい
そう思える問題に出会うことがあるのだ。
過去には
2度ほどそんな問題文に出会ったことがある。
最初は中3駿台模試の英語の文章だった。
物語文で
ある幼い少年と電話交換手の女性の話だった。
両親が家に不在の時にトラブルに見舞われたその少年は
電話交換手に電話をかけた。
応対した女性はやさしく教えてくれた。
その後、何度もやりとりをした。
少年は成長し進学のため町を離れた。
長期休みに帰省したとき少年は思い出した。
インフォメーションプリーズと呼んでいた電話交換手のことを。
久しぶりに電話をかけてみた。
あの女性はもういないとのことだった。
がっかりした少年に
電話口の女性が告げる。
女性がなくなったこと。
少年から電話が来たら手紙を渡してほしいと言い残していたこと。
少年は手紙を受け取り
すべてを知ることになる。
あの交換手、インフォメーションプリーズには
亡くなった息子がいたこと。
はじめて電話をかけたときには
その失意の中にいたので
少年との会話が本当にうれしかったこと。
そして少年は・・・・・・
テストの解きなおしの際に
生徒たちといっしょに訳していったら
何だかグッとこみあげてくるものがあったのを覚えている。
よく見ると
中には涙ぐんでいる生徒もいた。
それ以降、文章題を読んで
生徒が授業中に涙することは一度も見たことがない。
さて、もう一つは
国語の文章題だ。
結果主義になりがちな昨今の風潮の中で
「成功」とは別の「成就」について考察している。
スポーツでも芸術でも
入試でも仕事でも
いろいろなことに共通して当てはまることだろう。
令和2年度の埼玉県公立高校入試追検査の大問3の文章だ。
興味があればご一読あれ。
https://www.center.spec.ed.jp/nyuushi/page_20220627070502/page_20220627080405
来年は
「座右の問題」に出会えるといいな
年の瀬にそんなことを考えた。