本当の春は
花をのみ 待つらん人に 山里の
雪間の草の 春を見せばや
藤原家隆の詠んだ歌だ。
大意は、
いつ咲くかと
花ばかり待つ人に
見せてあげたい
山里の
雪の隙間に
芽生える草の姿に
本当の春があることを。
歌人は冬の中に春を見ている
作家の白洲正子さんは
この歌は「発見の驚きと、喜びに満ちている」と。
秋の実りが終わり
すべて滅びたかに見える冬。
が、すでに新しい生命の胎動は始まっている。
花や緑に眼を奪われず
名もなき草に生命の力強さ
美しさを発見するのは
この時である。
その感動はまた
春の到来の喜びを何倍にもしてくれる。
受験も人生も、厳冬の中で真の春を知る。
冬は必ず春となる。
真剣に向かい合った人には
成長のドラマがある。
昨日、今年度の辻本塾合格者第1号が出た。
年末から松葉杖を使った不便な生活の中、
最後まで伸びきることができた生徒。
振り返ると、今年の成長ぶりは
物凄かった。
入学時には
身長も私より低かったけれど
今では私を見下ろすくらい大きくなった。
身長だけじゃなく学力でも大成長ができた。
今日は
発表の直後に
わざわざ松葉杖で塾まで報告にきてくれた。
本当にうれしそうな表情だった。
あの表情は忘れられない。
でも、さっきの和歌ではないけれど
彼の本当の春は
この成長の過程の中にあったはずだ。
私はそう確信している。