銀の匙
盆休み中、1冊の本を読んだ。
中勘助作「銀の匙」。
いつか読もう読もうって何年も棚上げしていた本。
感想は・・・・・
実は読書しながら、別の人のことを考えていて、ときどき上の空状態だった。
その人物は、橋本武先生。
灘中高の伝説の教師橋本武先生の授業は、この本を読むことだったらしい。
とことん調べつくす、どんどん広げていく。
教材もいいものなのだが、こんな学習法で力が付かないわけがない。
語彙力や学力ってそうやって身につけるもの。
こういう力を「地頭」っていうのかな。それを見事に鍛えている。
いい授業の定義って人それぞれ。
ある人は、楽しい授業っていうだろう。
ある人は、分かりやすい授業っていうだろう。
ある人は、気が付くと時間が過ぎている授業って言うだろう。
私が思ういい授業は・・・・・
そもそも、いい授業って、1回見るだけではよくわからないと私は思う。
1回見て分かるのは、野球のピッチングで言うと、「フォーム」かな。
模擬授業などで見えるのはこの部分。基本のキ。
私がいい授業だと思うのは、野球のピッチングで例えると「球質」のいいもの。
スピードや変化だけでなく、重いとか軽いとか。見てるだけではあまり分からない部分でもある。
受けている生徒たちの授業外での学びに「影響力」のある授業がいい授業だと思う。
塾なんて1教科だったら大抵週1日の2時間ほどの時間。
これが学習の全てだったら、少なすぎて話にならない。
学校の授業は塾よりも多いけど、これだけでも足りない。
灘のエチ先生は、授業を通して、灘の子どもたちに多大な影響を与えたのだろう。
「自ら学ぶ、とことん学ぶ、徹して学ぶ」ということを、1冊の本を通して教えられたのだろう。
灘が、柔道の強豪校から、日本を代表する進学校になるくらい、生徒たちが学び結果を残すまで。
だから、「最高にいい授業」。
大手塾の理事長先生が「テキストがなくても、いい授業ができる先生がいい先生。」って言っていた。
その塾は、埼玉でも一二を争う塾なので、テキストを皆が使わなくなったら大変なことになる。
だから、本当にテキストを使うなっていうのではなく、テキストっていう、他の先生と同じものを取り去った時に、あなたにはどれだけ授業を通して付加価値を与えることができるのですかっていうことをおっしゃったのだろうと解釈している。
これができたら「守破離」の破の境地かな。
離の境地は・・・・・
まだ見えてすらこない。奥が深いな、塾って。
そんなことを考えながら本を読んだりして過ごした盆休みだった。