見えない努力
“もし彼女がいなかったら今の歌舞伎囃子はない”と評されるのは、
歌舞伎囃子田中流の九代目田中佐太郎氏。
歌舞伎界は圧倒的な男性社会であることや
田中佐太郎は歌舞伎囃子方の名跡なので
紛らわしいのだが、
九代目は女性だ。
十一世家元・傳左衛門の三女として生まれ、
半世紀にわたり舞台に立つ一方、後進の育成にも力を尽くしてきた。
氏は、人間国宝の父から“陰の正直であれ”と、よく言われたという。
人が見ていようがいまいが勉強し、努力を欠かさない。
それが必ず舞台に生きてくる、と。
例えば舞台に設けられた小部屋「黒御簾」での効果音の演奏。
人目がないからと油断すれば、鼓を構える肘が下がったり、
太鼓の撥を取る時に雑音が出たりする。
そうした姿勢は、必ず演奏にも表れる。
技術だけではなく「見えないところにも心を配ることで芸の品格が育つ」
見えない努力が大切なのは勉強でも同様だ。
そして、見えない努力こそが明暗を分けると言っても
過言ではない。
さて、話題は変わって面白い動画の紹介。
演奏中に珍しい観客がやってきた。
https://www.facebook.com/sona.kyurekhyan.5/videos/359025542469457