自由とは
東北の山村に暮らす婦人を描いた松山善三監督の「母」という映画がある。

幼い5人の子がいたが
事故で全身まひとなった夫を28年間介護した実話を基にしている。
映画では、夫をみとった翌年
婦人が「アメリカに行って自由の女神を見たい」と告げる。
子らは”父の看病で村さえ出たことのない母が?”と驚いた。
だが婦人は渡米を実現。
帰国第一声が感慨深い。
「自由の女神ちゅうから
わだす(私)は
どこへでも飛んでゆく女神かと思ったら
おらとこの田んぼよりもちいせぇ島に
ボヤーッとつっ立っているだけでねぇの
面白くもねぇ
わだすと同じだ……」と。
真の自由は”どこか”ではなく
“わが胸中”にあるという意味を込めて。
「自由」とは
快適さや享楽に満ちた
“苦労のない”状態ではない。
厳しい現実や運命を見下ろしながら
悔いのない挑戦で
勝利の人生を力強く切り開いていく生き方を指す。

