監督
高校時代の野球部のOB会に参加した方の話だ。
毎年の恒例行事だが
今回は定年を迎えた監督を招待していたという。
20年も前の試合内容を
鮮明に覚えていた記憶力には
正直、驚かされた。
そればかりか
教え子の陰の努力を
恩師はしっかりと心に刻んでいたそうだ。
「よう頑張ってたな」
と監督に肩を叩かれた後輩。
一度も公式戦に出られなかった。
が、腐らず、密かに練習を重ねていたと監督が証言。
「そんなことも見えんようじゃ、監督は務まらんよ」
さらりと言った恩師こそ
彼の上達を、だれよりも願っていたのだろう。
甲子園に出場したわけでもない
無名校の監督だけれども
部員たちOBたちのことを
真剣に考えることができる方だ。
塾の先生として私もそのようでいたい。
「どんな時も、がむしゃらに。野球でも人生でも、大切なことは同じ」
昔も今も真剣に語ってくれる監督に、心から感謝した
そう語る瞳は白球を追う少年のようだった。