氷山の一角
「藤子不二雄」の合作ペンネームで知られる
藤本弘さんと安孫子素雄さん。
漫画家を目指していた高校3年の時
2人で手塚治虫氏を訪ねた思い出を
安孫子さんが語っていた。
仕事中の氏から
“待つ間、これでも見ていて”
と数百ページもの原稿を渡された。
それは2人が何度も読んだ作品だったが
見覚えのある場面が全くない。
氏に聞くと
当初描いた1000ページの
大半を削って作品にした。
それは本に載らなかった部分とのこと。
氏の努力のすさまじさに衝撃を受け
本気で
“漫画家になろう”
と心を決めたという。
「文章は『氷山の一角』だ」と言われる。
書き手として
どれほど物事を深く強く感じ、思い、真剣に考えてきたか
という豊かな体験に支えられてこそ
読むに値する文が書ける。
水面下に心の格闘という大きな氷塊があってこそ
文として水面にその一角が現れる。
本物の学力は一朝一夕では
とても身につくものではない。
少しずつ
少しずつ
成長させて
気がついたら
氷山のように大きくなっているのだろう。
テスト直前に
「テストに出そうな問題を教えてください」
そんなことを言っているようじゃ
いつまでたっても
本物にはなれない。
100点をとる人には
その100点分の学力だけでなく
目には見えないけれど
水面下には
大きな氷山がある。
最近のタイパとかコスパという発想とは
大きく異なっているのだ。