曖昧な言葉
「たくさん勉強しているけれど、成績が思うように伸びません」
これは、最近問い合わせいただいたある中学生が言ったセリフだ。
このセリフの中には成績向上におけるNGワードが含まれている。
それは「たくさん」という言葉だ。
「たくさん」とは具体的にどれくらいなのだろうか。
これは非常に曖昧な言葉だ。
ある生徒は「1日3時間の勉強がたくさんだ」というかもしれない。
別の生徒は「たくさんとは、ワークを1日に5ページやること」というかもしれない。
人によって異なるような、これらのような曖昧な考え方では
「勉強を済ませた」という視点でしか考えられなくなってしまう。
結果が出ていないのにもかかわらず、
勉強をやった気になっているのは危険なことなのだ。
成績が伸びない理由は主に2つ考えられる。
ひとつめは、やるべきことをやっていないこと。
ふたつめは、やり方を間違えていること。
結果が出ていないときには、
原因を分析することだ。
このとき、「今までの勉強のやり方、
勉強に対する考え方が違うのではないか」と
疑うことが必要だ。
「どこかの分野や単元でつまづいているのではないか」と
成績が伸びない理由を、具体的に探っていくのだ。
先ほどの中学生は、周囲から
「たくさん勉強しようね」などと
曖昧な言葉を使われていたのだろう。
だから、たくさん勉強すれば成績は上がるはずだと
本気で思っているのだ。
自分のやり方が正しいと思っているのに
自分の間違いに気付くことができるはずもない。
「学習は自分一人でやるべきだ」という人がいる。
成長とともに徐々に一人でやるようにしていくのだが、
この生徒のような勘違いも珍しいことではないので、
小中学生のうちは、最初から最後まで一人に任せるのではなく、
見守りながら、手を差し伸べることも
必要だ。