受験道
棋聖・大山康晴15世名人は少年時代、
内弟子として仕えた師匠から一局も教わらなかった。
その代わり、掃除、買い物、駒磨き、代稽古など
”盤外”の修業に日々、明け暮れた。
しかし、こうした修業を必死にやり抜くことで、
「将棋とは単なる技術だけでなく、
体の奥底に蓄えられる心、
皮膚からにじみ出る精神といったものに支配される道だ、
ということがはっきり感じとれるようになってきた」
将棋に限らず
スポーツや芸術など様々なことでも
このような修行はできる。
得られるのは
人間としての精神的な成長だ。
空手道とか茶道のように、
受験道という言葉があるように
受験だってそんな研鑽ができると私は思う。
カリスマ先生や評判の良い先生は
合格するための知識を与えてくれるのみならず、
この受験道を教えてくれる人が多いと思う。
「道」という漢字は、
「首」と「しんにゅう」で出来ている。
首は人間を表し、
「しんにゅう」は往来を表す。
つまり、人が物理的に行きかう場所、
それが「道」だ。
そこから発展して、
人が何度も同じことを反復して得た
最高の善を「道」という。
単に技術を磨くだけでなく
人としての成長をめざす、
それが「道(どう)」という一文字に表現されているのだ。
武道とは、戦いの技術を磨く技術「武」に、
その技を磨く稽古を通じて
人格形成を目指す「道(どう)」の理念が加わったもの。
今日、武道は戦いの技術というよりも、
心身を鍛え、また礼儀作法を身につけるため、
教育的な修行のため、「ならいごと」として盛んになっている。
私は、受験道も同じように考えてほしいと思う。
来る日も来る日も繰り返し学習を行う。
その中で得られる最高の善は
人生の宝になる。
忘れないでいてほしい。
話は変わって、ハンコレス社会の話。
学校からのお便りやアンケートなど
保護者との連絡手段について、
押印を省略してデジタル化を進めるよう、
文科省は20日、全国の教育委員会や都道府県などに通知した。
電子メールなどを使うことで
保護者の負担減や学校の業務効率化をはかりたい考えだ。