共に過ごす時間
霊長類の研究で知られる山極寿一氏が、
アフリカに滞在していた時のこと。
氏の家には、親しくなった現地の誰かしらが、
ひっきりなしにやってきた。
用事がある人もいれば、
ない人もいる。
彼らいわく、
“どうぞ自分の時間を使ってください”
との親愛の表現なのだという。
文化の違いと言えばそれまでだが、
誰かを大切にするとは、
“共に時間を過ごす”ことなのだと気付かされた。
日本では“自分の時間”を重視するあまり、
「誰かとの時間が極端に少なくなり、
みんながバラバラになってしまった」
と山極氏は指摘する。
学生時代の友情は一生ものである理由はここにある。
途方もないくらいの時間を
共に過ごすことで
ゆるぎない友情が育まれていく。
励ましの思いを言葉にする。言葉にならなくても、寄り添い、時間を分かち合うことで伝わる心もある。
他者に尽くす振る舞いの中で、自身の生命も磨かれ、自他共の成長の道が開かれていく。