ラスト10分
かつて大学ラグビー日本一になった監督は語った。
「最後の10分。体力的に一番きつい、この時間帯の攻防に、チーム力の差が表れる」
ラグビーの試合は、前後半、合わせて80分。
その最後の10分が最も過酷。
トップクラスの勝負は、そこで決まる。
ラグビーに限らず、物事を成し遂げるには「最後の壁」がある。
ここに残る力のすべてを注いでこそ、目標を達成できる。
きついのは体力だけではない。
優勢ならば油断が、
劣勢ならば諦めが芽生えるこの時に、
執念を奮い起こし、
全力を尽くせるか否か、
勝負を支配するのは、
目に見えない一念だ。
受験の世界でもラグビー同様に
「試験最後の10分が一番きつい、この時間帯に、差が表れる」
知識量で得点の差がつくのはもちろんなのだが、
一番差がつくのは精神力。
あきらめていたら、ひらめくものもひらめかない。
解ける問題が解けないのだ。
試験終了後、冷静に考えたら
簡単に解くことができた。
そんな経験はないだろうか。
それを不運だったと片づけていては
いつまでも上のステージには上がることができない。
そのひらめきのために
日々のハードなトレーニングがあるのだ。
そして、ハードなトレーニングをこなしてきたからこそ
試験時間の最期10分を有意義に使うことができるのだ。
キモチで負けている最後10分との違いは歴然としている。
では、どうしたら負けないラスト10分を使えるようになるだろうか。
それは、日常のトレーニングにある。
もうやめよう、と思ってから、
「あと少し」
「あと1問」
と粘るのだ。
そうすることで根っこの忍耐力が鍛えられるのだ。
根っこの忍耐力とは、
テスト時間ラスト10分で10点を獲得できる力だ。
そして、その力の有無こそが合格と不合格を分けることになる。
試験時間のこり10分の様子を見ていると
何もしていない人がいるはずだ。
余程簡単なテストは別として
何もしていないということは
諦めているということだ。
こういう人は普段から成績向上をあきらめている。
試験時間のこり10分にこそ普段の学習に対する姿勢がくっきりと表れる。
そして、それこそが明暗を分かつ。
ラグビーでも試験でも、
ラスト10分には
そこにたどり着くまでの
ものすごく凝縮された
ドラマが込められているのだ。
だからこそそこに実力の違いがくっきりと表れるのだ。