メダルや合格の価値
アスリートの中にはメダルを獲得した時が人生のピークだったと振り返る人がいるという。
これはアスリートに限った話でない。
合格した時が人生のピークだったと振り返る人もいるのだ。
メダルや合格通知を手に入れた後、
そこから先に進まなくなってしまうのだ。
あくまで通過点のはずなのに。
さて、東京オリンピック女子やり投げ銀メダリスト、
ポーランドのマリア・アンドレイチェク選手が、
自身のメダルをオークションに出品したそうだ。
彼女は、母国ポーランドで生後8か月の乳児の心臓手術費が足りないために、
手術を受けられずにいるという事情を耳にした。
彼女は自身のSNSを通じて「私も手術費を集めるために助けたい」
「子供の手術のために、私のオリンピック銀メダルをオークションに出品したい」と発表した。
アンドレイチェク選手のメダルは、
実際にオークションサイトに出され、
ポーランドのコンビニ大手である「ジャプカ」という会社から
12万5000ドル(約1400万円)で落札された。
アンドレイチェク選手の善行で手術費が用意された乳児は、
米国スタンフォード大学医療センターで手術を受けることになったという。
このような事情が伝えられると、
メダルを落札したジャプカ側は、
メダルの持ち主であるアンドレイチェク選手にメダルを返した。
子供を助けるためにメダルを売りに出したメダリストの行動に感動したという。
アンドレイチェク選手は「メダルの真の価値は、常に心の中にある」とし
「このメダルはクローゼットの中でほこりに覆われるより、
一つの命を救うことの方が価値がある」と伝えた。
これに先立ち、アンドレイチェク選手は、
ことし5月にヨーロピアンカップで獲得した金メダルも
心臓病を患う子供のために寄付している。
この子は、6月に無事に手術を受け回復している。
私はアンドレイチェク選手の言葉と行動に感動した。
メダルだって合格だって
真の価値は本人の心の中に大事にしまっておくべきもので
他人にひけらかすためのものではないと思う。
メダルや合格の先にあるもの、
それは、鍛え上げた自分の能力で
世のため人のために役立つことをすることではないか。
自分のことしか考えていないと
そこから先に進めなくなってしまう人生を歩むことになってしまうかもしれない。
そしてその危険性は誰しも持っているはずだ。
だからこそアンドレイチェク選手のこれらの行動を胸に刻んでおきたい。