ホンネとタテマエ
「建前なんか捨てて、本音で生きよう」と、人はしばしば口にする。
それに対して、暮らしの手帖創刊者の花森安治は
「建前と本音というが、
建前は通すべきである。
本音とは弱音のことだ」と指摘した。
花森のいう「建前」とは、
自らの日常を律する規範。
「本音」とは、
ついポロリとこぼれ落ちるグチや不満……。
日本人のそんな心の内側を、
花森は鋭く見抜いたのだろう。
本音が〝弱音″になってしまうのは、
心が後ろ向きだからにちがいない。
逃げ腰ならば、
ちょっとした困難もグチの種になりがちだ。
建前が窮屈に感じられるのも、
いやいや従わねばならぬ
〝外的規範″と受け止めているからだろう。
そもそも、
建前と本音に二極分解している心の状態こそが、
問題なのではないか。
学業にしろ仕事にしろ、
人は責任をもって成し遂げねばならぬ課題がある。
それに全魂をもって、
真正面から立ち向かうとき、
人は思いも寄らぬ〝新しい力″を、
自らの内に発見することだろう。
「君の眼差を内側に向けたまえ、
そうすれば君の心の中に/
未発見のあまたの領域が、/
きっと見つかるはずだ」(W・ハビングトン、酒本雅之訳)
〝新しい自分″を目指して、
弱音を吹き飛ばし、
心のパワー全開の日々を!