ピーキング
スポーツの世界では
「ピーキング」って言葉がある。
選手やトレーナーならば聞いたことがあるだろう。
その意味は、文字通りピークにもってくこと。
つまり、重要な試合にむけて
コンディションを最高の状態に近づけていくことが
『ピーキング』なのだ。
どんなに実力があっても、
本番にその力を最大限発揮できなければ、
不本意な結果に終わってしまうかもしれない。
オリンピックのような大会では、
次のチャンスまでは相当待たなければならなくなってしまう。
だから、本番の日に最高の状態を作りあげることは、
とても大事なことであり、
それを科学的に研究しているのだ。
選手のコンディションは、
メンタル面、
フィジカル面、
疲労、
栄養面などなど
様々な要素によって成り立っている。
そのため、ピーキングを行うときには、
これら様々な要素を考えながら、
総合的なコンディションを整えていく
必要がある。
受験の世界でもピーキングはとても有効だ。
入試の日に向けて、
コンディションを最高の状態に持っていけるかどうかで
結果が変わるといっても言い過ぎではないだろう。
手洗い・うがいなどの風邪予防をはじめとする「体調管理」もそうだし、
栄養ある食事など「栄養管理」もそうだし、
それらの成果で最高のコンディションで試験当日を乗り越えることが大事だ。
さらに、メンタル面。
体調面は前日までの勝負だ。
前日までしっかりと体調管理しておけば
当日は万全の体調だ。
一方、メンタル面は試験終了までがピーキングすべき期間なのだ。
もともと、人の本性はもろくて弱いものだ。
だからこそ、
試験においては、
最後の最後の瞬間まで
さじを投げなかったものだけが
発揮できる
何か特別な力が
燦然と
湧き出してくるのだ。
これを痛感したのは3年前。
埼玉県の公立高校に学校選択問題が導入された年のことだ。
前例のないことなので、過去問もない。
あるのはサンプル問題のみ。
みんながそれだけを頼りに仕上げてきた。
そして本番を迎えた。
公立高校の時間割は国語・数学・社会・理科・英語の順番。
明暗を分けたのは2時間目の数学。
みんなが問題を見ておどろいた。
サンプル問題とは内容も難易度も全然違うのだ。
とにかく難しい!
半分も取れなかったひとが続出。
川越女子高校のトイレでは休み時間中に
泣き声がすごかったらしい。
いや、トイレだけじゃなく教室でも
多くが茫然自失の状態だったらしい。
私は直接見ていないのだが、
受検生や試験会場の先生から聞いた話がリアルに目に浮かぶ。
そんな中、
「自分もできなかったけれど、みんなもできなかった。」
という事実に気が付いている冷静な受検生はしっかりと合格できている。
泣いて精神的に不安定になっていたら、次の教科に悪影響を与えるだろう。
それこそ、ひらめくものもひらめかなくなってしまうかもしれない。
メンタル面は試験終了まで成長を続けるのだ。
だから、試験前日ではなく、試験終了時をピークにするつもりでいたらよいだろう。
落ち着いて、しっかりと問題文を読むこと。
自分ができないものは他人もできないんだって思えばいい。
大丈夫、キミは大丈夫。