チベット旅行記

仏教の原典を求めて、

 

1900年当時厳重な鎖国をしていたチベットに、

 

身に降りかかるさまざまな困難を乗り越えて、

 

単身入国・帰国を果たした河口慧海師の旅行記です。

 

旅行記としてのおもしろさも第一級ですが、

 

チベットの生活・風俗・習慣の的確な記録となっており、

 

チベット研究の第一級の基本文献にもなっています。

 

チベット行を決心してから日本を出立するまでの準備。

 

カルカッタ(コルコタ)での語学や物品の調達を経て、

 

ヒマラヤに分け入ります。

 

寒さ、盗賊、野生動物、厳しい地形、国境越えの苦労などを乗り越え何とかチベットに入国。

 

厳重な警備の目をくぐり抜け、

 

チベット第二の都市シカチェからラサへの道中。

 

ラサに潜入した慧海は、

 

チベット人を名乗り、

 

医者として薬などを処方し、大活躍。

 

ついには、法王に召されその盛名がますます高くなります。

 

ラサの生活やチベット外交にも詳しくなります。

 

しかしついに、素性が露顕しそうになり、

 

チベット脱出を決意します。

 

貴重な資料を持ち、

 

幾重にも張り巡らされた関門を奇跡的にくぐり抜け、

 

英領インドに到着し、

 

日本へ帰国するまでの波瀾万丈の旅の記録です。

 

 

 

スリル満点。

 

開国間もない明治時代の話。

 

鎖国してたのだから、日本人はそもそも海外に行ったことなどない時代。

 

しかも、行く先は鎖国中のチベット。

 

情報なんて今とは比べ物にならなかっただろう。

 

交通手段もそう、

 

医療や衛生もそう、

 

旅の装備もそう、

 

確かなものは何一つない中、

 

日本国内での安定した高い地位を捨てて、

 

旅に出る河口慧海氏。

 

 

仮に今の時代だって、

 

鎖国中の国に潜入するって、

 

ふつうはできないし、やらないし。

 

 

ちょっと大げさかもしれないけれど、

 

冒険の難易度からして、

 

あの時代のチベット旅行は、

 

今の時代の、

 

宇宙旅行の

 

難易度じゃないかな?

 

 

最初は無鉄砲な人だなあって思いながら読んだ。

 

でも読み進めていくうちに、

 

この人は本物の「すごい人」って分かった。

 

圧倒的な信念と行動力、

 

すごいよ!

 

 

捕まれば死刑にされる中、初心を貫き通す強さ。

 

旅行記ってあるけれど、

 

冒険記ってしたほうが中身に合っている。

 

アマゾンのオーディブルで聴きました。

 

おススメできます、これは。

 

 

 

 

 

 

 

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