ゴールの先
間もなく、入試が始まる。
コロナ禍の中での入試だ。
受験生たちは細心の注意を払って臨んでもらいたい。
今月末には
進学先が確定している中3生が出始める。
私立単願組だ。
受験が目前に迫り、
緊張感も頂点に達していることだろう。
しかし、
今回はあえて
「ゴールの先」を見る話を伝えたい。
2004年アテネオリンピックでは100m・200m平泳ぎで金メダルを獲得、
2008年北京オリンピックでも両種目で金メダルを獲得し、
競泳での日本人唯一の2種目2連覇を達成。
2012年、4大会連続出場となったロンドンオリンピックで
4x100mメドレーリレーにて銀メダルを獲得。
2016年4月の日本選手権で現役を引退。
さて、誰のことだか分かるだろうか?
答えは
水泳の北島康介さんだ。
現役時代のとき、北島選手は試合の後半、
特にゴール前でスピードが落ちることに悩んでいたことがあった。
彼はその原因をスタミナが不足しているからだと考えていた。
しかし、彼の練習を見た脳神経外科医の林成之先生は
そのようには考えなかった。
「北島選手のスピードが落ちてしまうのは、
彼がゴールを強く意識してしまうために、
無意識に、体の機能が弱まってしまうことが原因だ」
と考えたのだ。
先生によると、
脳には達成を意識した途端に、
すでに達成したというように考えて力を弱めてしまう性質があるそうだ。
そこで、先生は、
北島選手にゴールよりも先に本当のゴールがあると
脳に認識させることができるようになる練習をおこなってもらった。
北島選手がタッチする壁をゴールと思うのを防ぐために、
壁をタッチして、振り返って掲示板を見るところまでをゴールと考えて、
掲示板を見るところまでを全力でおこなう練習を繰り返したのだ。
このように考えられれば、壁がゴールではなくなるので、
力が弱くなることはなくなる。
その結果、北島選手は見事に金メダルを獲得することができたのだ。
登山家の栗城史多さんは言う。
「登山で危険なのは下山する時。
エベレストの登頂を達成した多くの登山家は、
下山時に命をおとす確率の方が高い」と。
目標を持って歩んでいる時よりも、
気が抜けた時に危険が押し寄せて来るということだ。
野球で言えば、最終回に起こるドラマとか、
サッカーで言えばロスタイムの悲劇とか、
サラリーマンで言えば、定年退職後の病気とか・・・。
ちなみに、定年退職後、何の目標もなく家でのんびりしていると、
病気になる確率が格段に高いそうだ。
人は、いつでも何かに挑戦している時が
いろいろな意味でよいと言えるのだ。
達成するときが一番危険で、
それを回避するには
次の目標をつくることがポイントになる。
入試直前だが、
「ゴールの先」
受験生にとっては「合格の先」の話をさせてもらった。
今日の話題がこれである理由が分かってもらえただろうか。