この時期は良質の睡眠を!
夏休みが近づいてきます。
学習・部活・旅行・遊びなどの予定もあることでしょう。
思いっきりやってください。
へとへとになったって、小中学生ならば、一晩ぐっすり寝たら、完全回復しますから。
限られた時間の中、良質の睡眠をとることはとても大切なことです。
その日に学習した内容の記憶の定着も、睡眠中に行われますし、なによりも睡眠による体力と気力の回復がなければ、翌日の活動に障りがあります。
今回は睡眠の話です。
近年研究が進み、様々なことが解明されてきています。
一方、「都市伝説」のような最新の研究により根拠のないと判明している話もいまだにされています。たとえば、午後10時~12時の間に眠っていないと成長ホルモンの分泌が低下して肌が荒れる。はたまた、90分の倍数で眠れば睡眠時間が短くてもすっきり起きられる、などです。
眠れないときに羊を数えるなんていうのもあります。オックスフォード大学の研究によると、羊を数えるよりも、滝や川など穏やかでリラックスのできる綺麗な景色を思い浮かべるほうが、平均20分ほど早く眠れると証明されました。そもそも、羊を英語にするとsheep、眠るはsleepと一文字違いの言葉遊びからきているもので、日本語には関係がありませんね。
「24時間働けますか?」というCMが昔ありましたが、いまだに睡眠不足を誇らしく話す人もいます。「昨日〇時間しか寝てないんだよ」って。あなたの周りにもそんな人はいませんか?
睡眠研究の権威と呼ばれているスタンフォード大学医学部精神科教授、同大睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長の西野精治先生の興味深い話をいくつか紹介します。
▼「眠り始めの深いノンレム睡眠の質を確保することだ。最初の深いノンレム睡眠は個人差はあるが、おおむね90分(幅は80―120分程度)。ここでより深く眠ることができれば自律神経やホルモンのバランスが良くなり、翌日のパフォーマンスが上がる。例えば、細胞の修復や新陳代謝に関わる成長ホルモンが多く分泌されるのはこの時だ。」
▼「深部体温が0.5℃くらい上がる。その上昇は90分ほどで元に戻り、お風呂に入る前よりも下がっていく。表面温度との差が小さくなり、眠りやすくなる。このときは室温や湿度を快適に保つことも大事になる。空調の風に直接当たるのは当然よくないが、空調を使わずに不快な室内環境で寝ることも避けた方がよい。」
▼朝8時に起きたい人は例えばその20分前に目覚ましを小さい音で鳴らす。それで起きれば、眠りが浅く起きやすいタイミングだったということ。起きない場合は深い眠りに入っているので、無理に起きなくてよく、8時に改めて大きい音で鳴らして起きれば良い。睡眠は深いノンレム睡眠と浅いレム睡眠を繰り返しており、明け方は眠りが浅くて起きやすい時間が増えている。20分間隔を開ければ、そのどちらかが起きやすいタイミングになっている可能性が高い。逆に最初に目覚ましを鳴らしてから短い間隔で何度も鳴らす「スヌーズ」は良くない。
▼「早く起きないといけないときの目覚め方では間違った認識をしている人は多い。
―どんな間違いですか。
いつも夜10時に寝ている人が、翌朝はいつもより早く起きるために早く寝ようとすることだ。実はそういう人は夜8―10時に最も眠りにくい状態になっているため、意味がない。不思議な現象なのだが、眠気が溜まった夕刻時には、それに対抗して覚醒する機序も最大になっていると考えられる。通常の入眠時には、睡眠圧が覚醒機序に打ち勝つ。このため、夜は同じ時間に寝ることを推奨する。朝はとにかく頑張って早く起きるしかない。」
▼―昼の仮眠前にはコーヒーを飲むと起きる頃にカフェインが効いてすっきりと目覚められるという話を聞きます。
カフェインは脳内の睡眠を調節する物質の候補である「アデノシン」の働きを抑制する。(仮眠前に飲むと)一部の人には効果があるのかもしれないが、皆が皆うまくいく保証はないと思う。私はその効果に懐疑的だ。コーヒー1杯(100ミリグラム)程度では昼寝を中断させるほどの強い効果は出ないのではないか。
私個人としては、まず自分の適正睡眠時間を知ることが大事だと思います。ナポレオンのような超ショートスリーパーとアインシュタインやボルトのようなロングスリーパーでは適正睡眠時間が全く違います。これは、みんなが同じ靴のサイズ、身長でないのと同じことです。平均があり、それよりも上もいれば下もいるのです。自分の適性時間を知ったうえで、睡眠をしっかりと確保すること。睡眠時間を削るのではなく、起きている時間の有効活用をすること。以上が大切なのかなと考えます。
以下、西野先生に関する参考リンクです。
睡眠は90分サイクル」はウソ!? 睡眠界の権威が語る“最高の睡眠”をとる方法