こころ
夏目漱石は代表作『こころ』で、揺れ動く人間の心を綴った。
「人間は誰でもいざという間際に悪人になる」との話を聞いて、
押し黙った青年に、登場人物の先生が言った。
「君の気分だって、私の返事一つですぐ変わるじゃないか」と。
人の心ほど、移ろいやすいものはない。
だが、逆に言えば、人の心ほど、可能性を秘めたものもない。
2学期から始まる私立高校個別相談会。
合格の可能性を聞きに行くのだが、
意中の高校に何度足を運んでも、
「安心して受験してください」と言われることはなかった受験生がいた。
それどころか、
「うちがダメだった時のために、他校を併願しておいた方がいいです」
とまで言われてしまった。
ほとんどの受験生はこの時点で受験をあきらめてしまうはずだ。
その一言に心が折られてしまうだろう。
しかし、彼はあきらめなかった。
単願日程だけではなく、全ての受験日程の出願をした。
当日の朝まで過去問を解きまくった。
のちに彼は語る、「もちろん不安はあったけど、僕は、挑戦したかった。挑戦できたから最後まで頑張ることができた」と。
出願後に、高校の入試担当の先生に探りを入れてみた。
出願者数は予想以上、単願も多い。やはり、当日点次第だ。
しかし、この頃には過去問で合格点をだせるようになってきていた。
普通の受験生ならば、5年分の過去問しかやらない。
でも、彼は10年分の過去問を何回もやってきたのだ。
「試験会場でキミは一番過去問をやりこんで鍛え上げられた受験生だ!」
その言葉で送り出した。
結果は、見事合格だった。
人生は心ひとつで自在に変えていける。
自分自身の心を、より強く、たくましく磨くことができる。
さて、最近読んだ本。
小さい頃は、アリやアリの巣の観察をよくしていたっけ。
アリの気持ちを考えたりしていたなあ。
今は、足を止めてアリを観察することがなくなってしまった。
いけないいけない、生きている世界が狭くなっている。
この本を読むことで、アリに想いを馳せることができるようになる。
最近自分の世界が狭くなってしまっている人におすすめです。
はまります。