いま

いまがその時、その時がいま。

 

いまこの瞬間、目の前のことを

 

真剣に取り組まない人には、

 

決してチャンスはない。

 

外尾悦郎さんのことばだ。

外尾さんは、スペインの至宝であるサグラダ・ファミリアの彫刻家だ。

 

外尾さんは

 

「ここで彫刻を彫れるのは最後のチャンスかもしれない」と

 

毎回、覚悟を決めて、一つ一つ

 

渾こん身の力を振り絞って作品を生み出してきたと言う。

 

それは、外尾さんは、実はサグラダ・ファミリアの職員ではないからだ。

 

一回一回、契約で仕事をする請負の彫刻家なのだ。

 

教会を納得させる作品が作れなければ

 

いつでも契約解除されるリスクを背負っている。

 

だから、46年間、途切れることなく仕事をしてこられたのは

 

彼にいわせれば、奇跡みたいなものなのだ。

 

結果が全ての請負契約。

 

外尾さんが何度も語ることは

 

仕事に対する覚悟だ。

 

「いつだって、試されてきた」のだと外尾さんは言う。

 

スペイン人が普通にやることを普通にやっていたんでは、用はない。

 

スペイン人が普通にやることを

 

もっと見事に、もっと速く、もっと立派にしないと勝負は勝てない。

 

さらに、『期限はいつですか?』と聞くと

 

『ここは刑務所じゃない。期限はない。おまえができた時が期限だ』と言われる。

 

なぜなら、小さな、誰にでも出来るような仕事でも1年かけることもできるし

 

1日半で終わらせることもできる。

 

『それは、おまえ次第だ。自分の最善を尽くすしかない。』と言われるのみ。

 

どんな有名大学を卒業していようとも、何の意味もない。

 

誰の紹介だっていうのも何の意味もない。

 

『今日、おまえは何ができるんだ』、『おまえの最善は何なんだ』、それだけ。

 

毎日が真剣勝負。

 

誰かが与えてくれたり、助けてくれることを期待するような

 

甘い生き方は、外尾さんの戦い続けてきた日々にはないのだ。

 

外尾さんは、現在71歳。

 

「僕は90歳まで石を彫るよ」という。

 

 

 

自分がサグラダ・ファミリアの完成を

 

見ることはできないことを知っていたガウディは

 

毎日のように職人たちに語りかけ

 

自分の死後も建設が続くことを信じていた。

 

ガウディの気持ちもわかるようになったのだろうか。

 

「諸君、明日はもっといい物を作ろう」と語りかけていたように。

 

 

 

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