「重ねること」と「折りたたむこと」

ペーパーレス化という言葉を以前に比べて

 

よく耳にするようになりました。

 

テレワークなども影響しているのでしょう。

 

学習でもタブレットなどを用いた

 

ペーパーレスの形態も登場しています。

 

個人的な見解を言わせてもらうのならば、

 

現状では、紙の学習も取り入れたほうがいいと思います。

 

書くことを取り入れなければ

 

学習効率は上がらないからです。

 

将来的に紙より使い勝手の良い製品が生まれるかもしれませんが、

 

現状では、書くことに関しては

 

タブレットなどの端末よりも

 

紙のほうがすぐれているからです。

 

だから、当面はうちの塾でも紙の教材は使用していく予定でいます。

 

 

 

 

さて、みなさんは紙のすごさを知っていますか?

 

紙の歴史はとても古く、紀元前150年頃のものが

 

現在の紙の元となった最古の紙だと言われています。

 

今から2200年近く前に紙は発明されているのですね。

 

さて、ある紙を使った実験をしてみましょう。

 

皆さん手元になんでもいいので紙を準備してください。

 

そして、それを今から100回折りたたんでください。

 

できますか?

 

 

 

 

実は100回折りたたむことは「不可能」なのです。

 

紙1枚の厚さを0.05mmとすると

 

100枚「重ねた」だけなら5mmにすぎません。

 

しかし、紙を100回「折りたたむ」と

 

その厚さはなんと約67億光年(0.05mm×2の100乗)となります。

 

67億光年というのは光が1年間に進む距離を1光年としていますので、

 

光の速度をもってしても67億年かかるという距離です。

 

紙を手に取ってよく見て、考えてみましょう。

 

「折りたたむ」のと「重ねていく」のでは全く違うのだということを。

 

ちなみに、

 

アイキャッチ画像はイギリス人のブリトニー・ギャリヴァンさんです。

 

彼女はトイレットペーパーを12回折りたたむことに成功しました。

 

この時に使ったトイレットペーパーの長さは

 

なんと1200メートル!

 

このトイレットペーパーを25回折ると

 

だいたい富士山の高さになります。

 

そして、25回折るのに必要なトイッレットペーパーの長さはなんと6400万㎞です。

 

あまりにも大きな数字なので

 

ピンとこないと思います。

 

ためしに実際に紙を折りたたんでください。

 

6回か7回しか折ることができないはずです。

 

8回は不可能ですね。

 

8回折ると厚みの合計が256倍にもなり、

 

人の力では折り曲げることができないのです。

 

 

 

 

このことは学習のイメージと重なります。

 

「積み上げていく」学習ではなく、

 

「折りたたむ」学習のほうが理想的なのです。

 

薄っぺらい知識を上に積みあげても、

 

たいした厚さにはなりませんね。

 

それに対して、折りたたむ学習とは

 

今で学んできたすべてが

 

上に重なっていくイメージで学ぶことです。

 

あたらしいことに対して

 

今までのすべてがのっかっていくのだから、

 

やればやるだけ中身のある学びになるのです。

 

年を重ねれば重ねるだけより深い学問を修めることができるわけです。

 

こんな学び方で、視野の広い、発想力の豊かな人になってほしいです。

 

物事を一面だけでとらえるのではなく、

 

気になりだしたことを次々と調べ、

 

学び、咀嚼(そしゃく)していくことで、

 

その知識は何倍にも生きた価値のあるものへと変貌していきます。

 

時間はかかりますが、

 

このような学び方に勝る学習法はありません。

 

結局は同じ時間をかけるならば

 

「折りたたむ」学習のほうが圧倒的に力がつくのです。

 

普段の学習に置きかえると、

 

1つの問題ができればいいのではなく、

 

気になったことは、どんな些細なことでも、

 

参考書や辞書、そしてインターネットを使って調べ、

 

またそこでわからないものに出くわしたら更に調べ…という具合に

 

「深めて」いくのです。

 

 

 

 

 

 

さて、話は変わって

 

本の紹介です。

 

中学受験で最も出題されてきた作家の一人、重松清です。

 

小学生が主人公の物語も多いので、

 

現役の小学生からかつての小学生であった人まで楽しめる作家です。

 

登場人物は、特別でなくどこにでもいるだれかであるため、

 

感情移入がしやすいです。

 

作品設定が細かいので、とってもリアルです。

 

直接的な言葉ではなく、そのリアルな情景描写に

 

登場人物の気持ちがあらわされることもよくあります。

 

これは作問者からすれば問題にするポイントでもありますよね。

 

重松作品は多数ありますが、

 

全体的にあまり難しい言葉は使っていません。

 

だから読んでいて作品世界に引き込まれます。

 

それでは今日の1冊です。

 

 

 

 

今から18年も前の2002年に刊行された作品です。

 

この作品の主人公の名前は「きよし」。

 

作者と同じ名前ですよね。

 

じつは重松清さん本人の体験がちりばめられた、

 

自伝的要素のある作品としても知られています。

 

吃音の少年の成長する過程が描かれています。

 

ズバリ名作です。読んで損はありません。

 

以前も重松作品を紹介したことがありますが、

 

まだまだ素晴らしい作品がたくさんあります。

 

機会があれば他の作品も紹介していきたいと思います。

 

 

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