真摯

今日は歴史上の人物の話です。

 

 

ご存じ、幕末・明治時代に活躍した勝海舟。

 

 

彼は若年期から西洋に興味を持っていました。

 

 

ある日、古本屋でオランダの兵書を見つけます。

 

 

勝はそれを欲しがりました。

 

 

しかし、とても買うことができる値段ではありませんでした。

 

 

勝は親戚中を、お金を借りてまわりました。

 

そして何とか欲しがっていた本を買えるだけのお金が集まり、

 

 

もう一度古本屋に立ち寄ります。

 

 

しかし、勝の求めていた本はすでに別の人の手に渡ってしまっていました。

 

 

勝はたいそう落ち込みました。

 

 

ふつうならば、ここであきらめますね。

 

 

しかし、ここであきらめる勝ではありません。

 

 

その本を買った持ち主を調べ始めたのです。

 

 

なんとかして持ち主を調べ上げ、その人と出会うことができました。

 

 

勝は何度も「その本を譲ってはいただけませんか」と頼み込みます。

 

 

それでも、なかなか了承を得ることはできません。

 

 

勝はこう言いました。

 

 

「それでは、あなたが寝ている間に

 

 

その本を貸していただけませんか?

 

 

あなたが寝ている間は

 

 

その本を読むことができないでしょう」と言いました。

 

 

持ち主は「それはそうですね。

 

 

しかし、その本は大切なものです。

 

 

家から持ち出されては困りますぞ」と答えました。

 

 

そこから、勝は持ち主の家まで毎夜通いつめたのです。

 

 

その距離は約六キロメートルも離れていました。

 

 

しかし、雨が降ろうとも約束の時間に遅れたことはありませんでした。

 

 

毎夜、家に通っては本を書き写していきます。

 

 

勝は約半年間通いつめ、その本八冊をついに写し終えたのです。

 

 

 

 

 

 

坂本竜馬は勝に入門して、

 

 

世界の情勢などを教わり、

 

 

その知識の広さに驚き、

 

 

家族に勝のことを「日本第一の人物」と手紙で紹介しています。

 

 

勝の知識はこのように一つひとつを苦労して得たのでしょう。

 

 

だから、それらはしっかりと咀嚼され、活きたものだったのでしょう。

 

 

 

咸臨丸の船長として、ジョン万次郎や福沢諭吉らとともに

 

 

太平洋を渡りサンフランシスコへ渡った勝。

 

 

勝は「外交の極意(ごくい)は誠心誠意にある」をモットーにしていました。

 

 

外交でごまかしは通用しない、

 

 

真心で相手にぶつかるべきである、という姿勢です。

 

 

そのような姿勢が時代を動かしていったのでしょう。

 

 

 

 

 

勝の真摯な生きざまは、現代に生きる私たちに大切なことを教えてくれます。

 

 

歴史を学ぶうえでたいせつなのは、

 

 

年代を暗記することでも、歴史上の人物を覚えることでもありません。

 

 

歴史はわたしたちに、世の中は変化するものであることを教えてくれています。

 

 

変化することをおそれてはいけません。

 

 

いまの世の中で何をしたらよいのか、よく考えてください。

 

 

歴史は、わたしたちに、わたしたちの生き方を教えてくれているものなのです。

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