点額魚
唐の詩人・白居易に「点額魚」という詩がある。
登り切れば竜になれるという「竜門の滝」の故事にちなんで詠んだもの。
「点額」とは“額に傷を受けること”を指し、
点額魚は、滝を登り切れず、
岩に打ち付けられて額に傷を負った魚のこと。
その魚の気持ちはどんなものだろうと白居易は自問した。
「聞けば、竜になれば天に昇って雨を降らせる苦しみがあるそうだ。
そんな苦しみをするよりは、
永く魚となって自由に泳ぎまわっているほうが、
あるいはかえって、ましかもしれない」
大きな壁に挑み、背負わなくてもよい苦しみを背負うより、
今いる場所で自由に生きているほうが幸せなのではないか、
―人生の岐路にさしかかった時、
誰の胸にも湧いてくる微妙な心を、
詩人は表現したのだろう。
しかし、竜は竜なりに雨を降らす労苦がある。
この労苦を苦悩ととるか、
人生の使命ととるか。
この違いが、人生を大きく変えるのだろう。
滝を登り切れ!
ガンバレ、受験生!